自主企画

ライブ当日の精算方法|売上・会場費・出演者支払いを締める手順

自主企画ライブの当日精算を、チケット売上、実入場、現金、キャッシュレス、会場費、立替、出演者支払い、物販、後日入金まで順番に照合する方法として解説します。

ライブ当日の精算手順を表したカレンダーとチェック項目のイラスト

ライブ当日の精算は、終演後に手元の現金だけを数える作業ではありません。販売経路ごとの売上と実入場数を確定し、会場費・追加費用・立替・出演者への支払い・物販を分けて照合し、未入金や差額を担当者付きで残す作業です。

この記事では、自主企画ライブを主催するミュージシャン、バンド、DJ、ラッパー、シンガーなどに向けて、ライブ当日から後日入金までの精算方法を順番に整理します。公演全体の予算を作る段階は自主企画ライブの予算の作り方、チケット価格の設計はライブのチケット価格の決め方を先に確認してください。

会場との契約、チケットサービス、キャッシュレス決済、出演者との取り決めによって、支払時期・手数料・必要書類は変わります。本文の表と金額例は精算手順を説明するための架空例です。利用する会場・サービス・決済事業者の最新条件を優先してください。

1. 精算を始める前に「対象」と「締める時点」を決める

最初に、この精算で何を確定するかを明確にします。ライブ当日にすべてのお金が動くとは限りません。オンラインチケットの入金、未回収の取り置き、出演者間の振込、返金などは後日になることがあります。

精算表の上部に、次の情報を書きます。

項目 記録する内容
公演 公演名、開催日、会場、主催者
精算責任者 数字を確定する人と確認者
当日締め時刻 現金・当日決済を数えた時刻
対象 チケット、会場費、追加費用、出演者支払い、物販など
後日項目 オンライン売上、未入金、返金、追加請求など
証憑の保存先 領収書、請求書、決済明細、入場記録を置く場所
最終確定日 後日入金まで含めて締める予定日

「当日締め」と「最終確定」を分けることがポイントです。当日は確認できた金額を固定し、まだ動いていないお金はゼロにせず「未入金」「未請求」として残します。

精算を完全撤収の直前に一人で始めると、物販、搬出、忘れ物確認と競合します。ライブのタイムテーブルの作り方で、精算開始、現金確認、会場確認、搬出の担当をあらかじめ分けてください。

2. 開場前に精算表と現金管理を準備する

終演後に初めて数字を集めるのではなく、開場前に記録方法を統一します。

販売経路を先に分ける

少なくとも、次の区分を別々に記録します。

  1. オンラインで決済済みのチケット
  2. 取り置き・予約で当日現金を受け取るチケット
  3. 当日券
  4. 会場や主催者が使うキャッシュレス決済
  5. 招待、関係者、無料入場
  6. 支払い未確認・判断保留

予約名簿の作り方はライブハウスのチケット予約管理も参考になります。ただし、会場が管理する予約と主催者・出演者が持つ取り置きは、同じ人を二重計上しないように統合ルールを決めます。

釣銭と売上を混ぜない

開場前の釣銭は、金種別に数えて「開始残高」として記録します。受付中に追加した釣銭も、誰がいくら入れたかを書きます。

現金売上は、現金箱へ入れたお金だけでなく、途中で支払ったお金や回収した売上金も照合して求めます。先に「どの現金箱を、いつまで集計するか」を決め、次の式を使います。

現金売上(返金差引後) = 終了時の現金総額 − 開始残高 − 売上以外の現金入金 + 売上返金以外の現金出金

「売上以外の現金入金」には追加の釣銭や主催者資金など、「売上返金以外の現金出金」には会場費、立替精算、出演者支払い、途中で別途保管した売上金などを含めます。売上の現金返金はすでに終了残高を減らしているため、この式で求めた金額から再び差し引きません。受付記録側も「現金受取額−現金返金額」にそろえて比較します。

たとえば開始残高30,000円、現金受取66,000円、売上以外の入金なし、途中支払い10,000円なら、終了残高は86,000円です。86,000円−30,000円+10,000円=66,000円と照合できます。さらに現金返金2,000円があれば終了残高は84,000円、返金差引後の現金売上は64,000円です。

受付用、物販用、ドリンク用などの現金箱を分ける場合は、途中でお金を移したときに移動元・移動先・金額・担当者を記録します。一つの箱を照合するときは他の箱からの移動を入金、他の箱への移動を出金として扱い、対象の全箱を合算するときは箱間移動を相殺します。物販やドリンクなども同じ箱で扱う場合、式で求まるのはその箱全体の売上なので、販売・返金記録で区分してチケット売上を取り出してください。

決済の証拠を残す

現金以外は、決済端末の売上画面、取引一覧、オンライン販売管理画面など、後から件数と金額を確認できるものを保存します。スクリーンショットだけに頼る場合も、取得日時と対象公演を分かるようにしてください。

個人情報を含む参加者一覧や決済画面は、出演者全員へ無制限に共有しません。精算に必要な集計値と、問い合わせ対応に必要な原本を分けて管理します。

3. チケット売上と実入場数を販売経路別に照合する

終演後は、まずチケット売上を確定します。売れた枚数、入場した人数、受け取った金額は別の数字です。

区分 確認する数 金額の根拠
オンライン決済済み 販売枚数、返金・取消、実入場 販売管理画面、決済明細
取り置き・当日現金 予約数、来場数、支払済数 受付名簿、現金記録
当日券 発券・受付数、支払済数 連番、受付記録、現金・端末
招待・無料 入場数 招待名簿、関係者受付
判断保留 氏名、状況、確認担当 受付メモ、連絡履歴

売上と入場数が違っても、すぐに誤差とは限りません。オンライン購入後の不来場、招待、複数枚購入、支払い未完了などを区別します。

たとえばPeatixでは、注文一覧で支払済みになっていない銀行振込注文は参加者にチケットが発行されず、主催者へ振り込まれる販売代金にも含まれないと案内されています。受付で振込明細を提示された場合の入場可否と当日の徴収は、主催者の判断で個別対応する説明です。サービス固有の扱いなので、他の販売方法へ一般化せず、Peatix主催者ヘルプ「銀行振込に関するよくある質問」と利用中サービスの最新画面を確認してください。

実入場数は、安全管理や会場報告に必要な場合があります。売上枚数から推測せず、受付記録と照合します。会場の収容人数や関係者の数え方は契約条件に従ってください。

4. 現金を二人で実査し、差額をその場で切り分ける

現金は、受付担当だけで確定せず、精算責任者または確認者と二人で数えます。紙幣・硬貨の枚数を金種別に記録し、合計だけを書かないようにします。

現金確認の順番

  1. 受付を止め、最後の取引時刻を記録する
  2. 現金箱ごとに開始残高と途中移動を確認する
  3. 金種別に終了残高を数える
  4. 記録上の売上と実査した売上を比較する
  5. 差額があれば、原因候補と再確認結果を記録する
  6. 確定額を封筒・入金袋などへ移し、担当者を記録する

差額が出たときは、予約一覧、当日券の記録、釣銭追加、返金、箱間移動、キャッシュレスとの重複を順に見ます。「だいたい合っている」と調整額を入れて終わらせると、次回の改善材料が残りません。

差額が解消しない場合は、無理に誰かの立替や売上へ付け替えず、未解決差額として金額、確認した資料、担当者、再確認期限を残します。

5. キャッシュレスとオンライン売上は入金額まで分けて考える

キャッシュレス・オンライン販売では、購入者が支払った総額と、主催者が受け取る予定額が同じとは限りません。

精算表では、少なくとも次を分けます。

  • 販売総額
  • 取消・返金
  • 決済処理費用
  • 振込手数料
  • 主催者への入金予定額
  • 入金予定日
  • 実際の入金日・入金額

Peatixの日本国内イベント向け主催者ヘルプでは、2026年10月15日の確認時点で、有料チケットの決済処理費用を販売実績の4.9%と販売済みチケット1枚あたり99円、イベント単位の振込手数料を210円と案内しています。また、イベント終了後5営業日以内に、費用を差し引いた販売代金の振込手続きを行うとしています。これはPeatix固有の現行条件です。料金や入金時期は変更される可能性があるため、利用料金・手数料とチケット販売代金の受け取りを精算時にも確認してください。

当日中に銀行へ入金されない売上を、現金残高へ足してはいけません。販売総額としては計上しつつ、資金移動は「後日入金予定」として別に残します。

6. 会場費と追加費用は契約・見積・当日変更を照合する

会場への支払いは、事前見積と当日の請求を照合します。箱代だけで判断せず、含まれるものと追加されるものを確認してください。

確認項目 照合する資料
会場基本料金 契約、予約確認、見積
音響・照明・受付スタッフ 見積、スタッフ追加の連絡
延長・時間変更 当日記録、会場確認
追加機材・備品 申込書、当日追加の記録
ドリンク関連 会場の運用条件、入場記録
キャンセル・変更費 契約、変更履歴
支払方法・期限 請求書、領収書、会場案内

たとえば下北沢LIVE HAUSのレンタルプランは、プランごとに箱代、受付人件費、含まれるスタッフ、音止め、楽屋撤収、完全撤収などを分けて掲載しています。イベント内容によってスタッフ増員が必要になる場合もあると案内しています。これは一会場の例であり、全国共通の費目や料金ではありません。LIVE HAUSの現行レンタルプランのように、利用会場の公式案内と個別見積を照合してください。

当日に口頭で追加された費用は、項目、金額、理由、確認した相手を記録します。精算時に確定できない場合は「会場へ確認中」とし、主催者側の推測で支払済みへ変更しません。

7. 立替、出演者支払い、物販を別勘定にする

チケット売上、出演者への支払い、物販売上を一つの現金箱で扱っても、精算表では分けます。

立替経費

交通費、印刷費、備品、当日の追加購入などは、誰が、何を、いくら、どの支払方法で立て替えたかを記録します。領収書や購入記録と照合し、事前に決めた対象外の経費はその場で勝手に承認しません。

出演者への支払い

出演料、売上分配、交通費補助などは、事前合意した計算方法を確認します。

  • 固定額か、売上連動か
  • 手数料控除前か、控除後か
  • チケット売上のどの範囲を対象にするか
  • 当日現金か、後日振込か
  • 源泉徴収や請求書などの確認が必要か
  • 代表者への一括支払いか、個人別か

法務・税務上の取扱いは契約当事者や支払内容によって異なります。判断が必要な場合は、会計・税務の専門家へ確認してください。

物販売上

物販は、開始在庫、販売数、終了在庫、単価、値引き、決済方法を記録します。アーティストごとの売上を主催者が預かる場合は、預り金と主催者売上を区別します。

販売数 = 開始在庫 + 当日追加 − 終了在庫 − 無償提供・破損など

在庫から計算した販売数と、現金・キャッシュレスの売上が合わない場合は、値引き、セット販売、決済区分、無償提供を確認します。

8. 架空例で当日精算と後日入金を分ける

以下は説明用の架空例です。実在サービスの料金ではなく、計算の流れを示すための数字です。

売上

区分 計算 販売総額
オンライン前売 40枚 × 2,500円 100,000円
取り置き・当日現金 18枚 × 2,500円 45,000円
当日券・現金 7枚 × 3,000円 21,000円
当日キャッシュレス 5枚 × 3,000円 15,000円
合計 70枚 181,000円

招待8名、不来場5名がいると仮定すると、販売枚数70枚と実入場数は一致しません。受付記録では、支払済み来場65名、招待8名、合計73名など、売上と入場を別に確定します。

現金チケット売上は45,000円+21,000円=66,000円です。チケット用の現金箱を使い、返金・途中入出金はなく、以下の当日支出を行う前に数えると仮定します。開始残高30,000円、終了残高96,000円なら、96,000円−30,000円=66,000円と現金実査からも確認できます。支払い後に数える場合は、その支払いを現金出金として式に加えて照合します。

当日支出

区分 金額 状態
会場費・当日確定分 90,000円 当日支払
追加機材 8,000円 当日支払
立替精算 6,500円 当日返金
出演者支払い 20,000円 後日振込
合計 124,500円 当日104,500円/後日20,000円

オンライン前売100,000円とキャッシュレス15,000円は、当日現金として存在しません。各サービスの費用控除後の入金予定額と日付を別行へ書きます。

この例では、当日現金66,000円だけで当日支払104,500円を賄えません。事前に用意した主催者資金や、支払期限の合意が必要です。利益が出たかどうかは、後日入金、全経費、返金などが確定してから判断します。

9. 差額と未解決項目を「担当者付き」で残す

精算を終える条件は、すべてがゼロになることではありません。未解決項目が、金額、理由、担当者、期限付きで一覧になっていることです。

項目 金額 現在状態 次の確認 担当 期限
現金差額 -1,000円 原因未特定 受付記録と釣銭移動を再確認 受付責任者 翌日
会場追加費 未確定 請求待ち 会場へ項目と金額を確認 主催 2日後
オンライン売上 入金待ち 手続中 管理画面と口座を確認 会計担当 入金予定日
出演者支払い 20,000円 未払 振込先と明細を確認 主催 3日後

「あとで確認」とだけ書くと、誰も動かないまま残りやすくなります。連絡先や個人情報を共有表へ書きすぎず、必要な原本への参照先を置きます。

返金やチャージバックの可能性がある売上は、確定利益として分配する前に条件を確認します。サービスの管理画面と契約を基準にしてください。

10. 最終確定後に予算との差を振り返る

後日入金と未解決項目が片付いたら、最終精算を締めます。予定と実績を比較します。

  • 販売枚数と実入場数
  • 前売・当日・招待の構成
  • 決済手数料と振込手数料
  • 会場費と追加費用
  • 立替と当日購入
  • 出演者支払い
  • 物販売上と在庫差
  • 返金・未収・差額

予算を「合っていた・外れた」だけで終わらせず、次回に直す前提を書きます。たとえば、当日券を多く見込みすぎた、釣銭移動の記録がなかった、オンライン入金前に支払いが集中した、追加スタッフ費を見落とした、などです。

自主企画ライブの進め方へ戻り、会場選び、出演者調整、告知、当日運営のどこへ改善を反映するか決めます。公開されている公演情報は、記事下のViVaLiVe「ライブイベントを探す」から確認できます。

11. 当日精算チェックリスト

開場前

  • 精算責任者と確認者を決めた
  • 販売経路と決済方法を分けた
  • 予約・取り置き・招待の数え方を統一した
  • 釣銭を金種別に記録した
  • 現金箱と箱間移動の記録方法を決めた
  • 会場見積、契約、追加費用の確認先を用意した
  • 立替・出演者支払い・物販のルールを確認した

終演後

  • 販売枚数、支払済み、実入場を区分別に照合した
  • 現金を二人で金種別に数えた
  • キャッシュレスとオンライン売上の明細を保存した
  • 会場費と当日追加を見積・契約と照合した
  • 立替、出演者支払い、物販を別勘定にした
  • 差額と未解決項目に担当者と期限を付けた
  • 当日締めの確定時刻と確認者を記録した

後日

  • オンライン・キャッシュレスの実入金を確認した
  • 返金、追加請求、未収を反映した
  • 出演者・立替の支払いを完了した
  • 領収書、請求書、明細を保存した
  • 最終確定日を記録し、予算との差を振り返った

よくある質問

精算は誰が担当すべきですか?

主催者側で一人の精算責任者を決め、現金実査と最終確定は別の確認者と行うと記録を残しやすくなります。受付、物販、搬出を同じ人へ集中させず、タイムテーブル上でも役割を分けてください。

チケット売上と来場者数が合わないのは問題ですか?

必ずしも誤りではありません。購入後の不来場、招待、関係者、複数枚購入、未払い注文などを区分すれば説明できる場合があります。売上枚数と実入場数を別々に記録し、会場の人数確認ルールに従います。

オンライン売上は当日の収入に入れますか?

販売実績には含めますが、当日手元資金とは分けます。費用控除後の入金予定額、予定日、実入金を別に記録してください。

会場費を当日現金で払えない場合はどうしますか?

支払方法と期限は事前に会場と合意してください。オンライン売上の後日入金を当日現金とみなしてはいけません。主催者資金の準備や後日振込が可能かを、契約・見積の段階で確認します。

差額が見つからないまま撤収時刻になったら?

現金、受付記録、決済明細を安全に保管し、未解決差額として金額、確認済み項目、担当者、期限を記録します。撤収条件を破って会場に残り続けず、会場へ状況を共有して後日確認します。

参考にした公式情報

以下は2026年10月15日に確認しました。Peatixの料金・入金・銀行振込の扱いは同サービス固有の現行仕様、LIVE HAUSの料金・時間・スタッフ条件は同会場固有の例です。利用時は最新の契約・公式ページを確認してください。本文の精算表、役割分担、架空計算例、チェックリストはViVaLiVe編集部の整理案です。