自主企画

ライブのタイムテーブルの作り方|自主企画の進行表と時間配分

自主企画・対バンの主催者向けに、ライブのタイムテーブルの作り方を解説。会場の音止めと完全撤収から逆算し、本番・転換・リハ・物販を配置する手順、3組出演の記入例、共有と遅延対応を紹介します。

自主企画ライブの時間計画を表したカレンダーのイラスト

ライブのタイムテーブルは、会場の利用開始・音止め・完全撤収を先に固定し、終演後の作業、本番、転換、開場、リハーサルを順に配置すると作りやすくなります。 出演時間だけを並べず、準備や片付けも含めて、担当者が実行できる進行表にすることが大切です。

この記事は、自主企画や対バンを主催するミュージシャン、バンド、シンガー、ラッパー、DJなどに向けた時間設計のガイドです。会場側が進行表を作る公演では、主催者・会場の指定を優先してください。企画から開催までの全体像は自主企画ライブのやり方で確認できます。

以下の記入例と時間配分は、編集部が説明用に作成した架空のものです。全国共通の標準時間や、実在会場でそのまま使えるプランではありません。

1. 会場の動かせない時刻を先に書く

空の表に出演者名を入れる前に、会場へ次の条件を確認します。回答を表の上部へ書けば、後から出演枠を増やしても、越えてはいけない線が分かります。

確認する項目 進行表へ反映する内容
入館・搬入開始 誰が何時から入れるか。契約上の利用開始との違い
音出し可能時間 リハ開始、演奏終了、BGMなどの扱い
開場・開演 公開済みか、まだ調整できるか
楽屋の撤収 会場全体より早い締切があるか
完全撤収 人・機材・物販・精算をどこまで終える時刻か
前後の公演 共用通路、機材置き場、客席入替の制約
提出期限 タイムテーブルと技術資料の提出日、修正方法

「終演」「音止め」「完全撤収」は同じ時刻とは限りません。たとえばLIVE HAUSのレンタル案内では、プランごとに搬入、リハ開始、音止め、楽屋撤収、完全撤収を分けています。また、予約時のタイムテーブルとステージプロットの相談も案内しています。利用する会場の条件を個別に転記してください。

利用時間が延びる場合は、延長できるかと追加費用の両方を確認します。追加料金を払えば必ず音を出し続けられる、とは考えないようにしましょう。会場の条件整理にはライブハウスの借り方、時間変更による費用の見直しには自主企画ライブの予算の作り方が役立ちます。

2. 出演者から「時間が決まる情報」を集める

出演組数と持ち時間だけでは、転換やリハの長さを決められません。各組へ同じ確認欄を送り、未回答を残したまま時刻を確定しないようにします。

情報 確認する理由
編成・人数 マイク、立ち位置、ステージ上の移動を見積もる
持ち込み・借用機材 前の組から何を残し、何を交換するか決める
セット図・入力情報 会場側が接続や配置の実現性を確認する
SE・同期・映像・DJ機材 再生方法、担当者、切替と確認の時間を確保する
出演枠の使い方 入退場、曲間、MC、アンコールをどこに含めるか揃える
到着可能時刻 入りとリハの順序が成立するか確認する
物販・精算・退館の希望 終演後に必要な時間と担当者を決める

バンドからDJ、弾き語りからラッパーなど編成が変わる公演では、「人数が少ないから転換も短い」と決めつけないことが大切です。接続変更、音源再生の確認、機材移動など、実際に行う作業を会場スタッフと並べます。

会場の機材リストを確認するときの項目も参考に、型番だけでなく台数、持ち込みの可否、事前設置できる場所を確認してください。機材を共用する場合も、所有者と会場の了解が取れているか確認します。

3. 撤収から逆算し、本番枠が収まるか計算する

最初に完全撤収時刻から、搬出、精算、物販、観客の退場に必要な時間を戻していきます。並行作業にできるのは、担当者・場所・動線を分けられる場合です。同じ人が物販と精算を担当するなら、その二つを同時刻へ置かないでください。

その後、開演から予定終演までの中へ、各組の本番と転換を入れます。

必要な本番区間 = 各組の出演枠の合計 + 組間の転換合計 + 独立した司会・休憩など + 本番用の予備時間

出演枠には何を含めるか、出演者全員で定義を揃えます。次の例ではMCや入退場を各組の枠に含め、別枠の司会は設けません。

  • 3組が各35分:合計105分
  • 組間の転換が2回、各15分:合計30分
  • 本番用の予備時間:10分
  • 必要な区間:105+30+10=145分

17:30開演なら、145分後は19:55です。通常進行では19:45に3組目が終わり、その後の10分は遅延に備えて確保します。未使用だからと自動的にアンコール枠へ変えず、使い方は主催者と会場で判断します。

最初の組の準備は開演前、最後の組の片付けは終演後に別途必要です。3組だから転換を機械的に3回足すのではなく、どの区間に何の作業があるかを確認してください。

収まらないときは、出演組数、各組の持ち時間、企画形式、会場利用枠を見直します。必要な機材確認や撤収を削って帳尻を合わせないようにします。

4. 開場前にリハ、転換、準備と休憩を入れる

本番区間の後は、開演から手前へ向かって、入場受付、開場準備、リハの予備時間、各組のリハ、搬入を配置します。

リハ枠の中身を揃える

「リハ25分」が音を出す時間だけなのか、セッティングや片付けも含むのかを確認します。入替時間を独立した行にすると、作業の重複や抜けが見つけやすくなります。枠内に必要な確認が収まるかは、セット図を見た会場スタッフと相談してください。

本番と逆順にリハを行う「逆リハ」は選択肢の一つです。本番1組目の配置を最後に作れる場合がありますが、出演者の到着、機材の共用、音響の都合によって適さないこともあります。順番を決める前に会場の希望を確認します。

転換時間を一律にしない

前後の組の機材差と必要な音確認を基に、転換ごとの作業を見積もります。寺田町Fireloopのホールレンタル案内のように、特定プランのリハ、転換、予備、開場から開演までの時間に条件を設ける会場もあります。同ページはタイムテーブルの事前提出や精算を含む完全撤収も案内しています。そこで示される時間を他会場へそのまま適用せず、利用会場の条件を確認してください。

予備時間とスタッフの休憩を区別する

予備時間は、遅延を吸収するための空きです。受付準備、撮影、追加リハなど必ず行う作業で埋めると、予備として使えません。スタッフの休憩も別途確保し、担当者ごとの表で交代と不在時の代行を決めます。「予備が空けば休む」だけの計画にはしないでください。

5. 3組出演の記入例で全体のつながりを確認する

以下は、利用枠14:00〜21:00、音止め20:00、17:00開場、17:30開演と仮定した例です。出演者A・B・Cは架空の名称です。会場側がリハ・転換の各枠を確認済みと仮定し、本番区間の予備10分とは別に、音止めまで5分の余裕を残しています。

開始〜終了 分 内容 主な担当・確認
14:00〜14:30 30 入館・搬入・打合せ・初期準備 主催、会場、出演者/搬入順と置き場
14:30〜14:55 25 C リハ C、音響/枠内の確認項目
14:55〜15:05 10 リハ入替 C、B、舞台担当/移動と接続
15:05〜15:30 25 B リハ B、音響/枠内の確認項目
15:30〜15:40 10 リハ入替 B、A、舞台担当/移動と接続
15:40〜16:05 25 A リハ A、音響/本番用配置を確認
16:05〜16:35 30 リハ予備 進行責任者/追加作業で事前に埋めない
16:35〜17:00 25 開場準備・最終確認 受付、会場、主催/客席・導線・案内
17:00〜17:30 30 開場・入場受付 受付、進行/開演可能な状態を確認
17:30〜18:05 35 A 本番 A、音響、照明/MC・入退場を含む
18:05〜18:20 15 A→B 転換 舞台担当、B/撤去・設置・音確認
18:20〜18:55 35 B 本番 B、音響、照明/終了合図を共有
18:55〜19:10 15 B→C 転換 舞台担当、C/撤去・設置・音確認
19:10〜19:45 35 C 本番 C、音響、照明/予定終演
19:45〜19:55 10 本番予備 進行責任者/遅延がなければ未使用
19:55〜20:20 25 終演後物販・退場案内 物販、客席担当/音止め20:00を守る
20:20〜20:50 30 精算・片付け・搬出 精算担当と搬出担当を分ける
20:50〜21:00 10 忘れ物・原状・退館確認 主催、会場/21:00までに完全撤収

表の合計は420分で、14:00〜21:00の7時間です。各行の終了と次の開始を連続させ、空白時間も目的のある行として書いています。精算と搬出は別担当で実行できることが、この例の成立条件です。

本番予備を使わず19:45に終演した場合、物販を早めに始められるかは会場と決めます。早く終わったことと、演奏時間を延長してよいことは別です。また、物販中にBGMを流す場合も音止めの対象と扱いを確認してください。

この全体表とは別に、スタッフ別の休憩・交代表を作ります。たとえば音響担当が休憩中の区間へ音出し作業を置かないなど、全体表と担当者の予定が矛盾しないかを確認します。必要な作業や休憩が収まらなければ、例の時刻をそのまま使わず組み直してください。

6. 内部進行表、公開用、当日キュー表を作り分ける

同じ公演でも、観客と会場スタッフでは必要な情報が違います。内部の正本を一つ決め、そこから必要な部分を取り出す方法がおすすめです。

資料 読む人 載せる内容
内部進行表 主催・会場・出演者・運営スタッフ 搬入、リハ、本番、転換、担当、締切、撤収
公開用タイムテーブル 観客 開場・開演、公開する出演順と時刻、物販案内、更新先
当日キュー表 進行・音響・照明など 合図、実行内容、実行担当、実行条件

公開用へ出演者の個人連絡先や楽屋情報を転記しないでください。出演時刻を公表するか、どの表記で案内するかも主催者・会場・出演者で揃えます。

キュー表は「何時に」「誰が」「何をきっかけに」動くかを具体化します。たとえば「17:29、舞台準備完了を進行が確認→進行から音響へ合図→SE再生→出演者入場」のように、時計だけでなく実行条件を書きます。遅延時も準備が整う前に自動でSEを流す運用にはしません。

LIVE HOUSE Rumioの必要資料の解説は、タイムテーブルのほかに、セットリスト、セッティング図、公演概要書を説明しています。進行表だけへ細かな演出を詰め込まず、曲順や音響・照明の要望は対応する資料と紐付けると、現場で参照しやすくなります。具体的な提出形式は会場指定を使ってください。

7. 会場確認を終えてから共有し、版を一本化する

初稿ができたら、まず会場へ全体表と技術資料を送ります。リハ、転換、利用時間、担当範囲が成立するかを確認し、修正を反映してから出演者へ確定版を共有します。

  1. 会場へ初稿を送る。 未確定箇所には確認相手と回答期限を記入し、実行可能な配分か回答をもらいます。
  2. 各出演者へ必要箇所を確認してもらう。 入り、リハ、本番、機材、物販、撤収を確認し、未回答を一覧へ残します。
  3. 修正を正本へ集約する。 公演日、版番号、更新日時、変更点を記載し、古い添付ファイルとの違いを明確にします。
  4. 公開情報へ反映する。 公表する時刻が固まったら、公演ページや告知画像の内容を合わせます。告知の公開順はライブ告知の逆算スケジュールも参考にしてください。
  5. 当日の受領を確認する。 会場、進行、受付、出演者の代表が同じ版を持っているか確認します。印刷物にも版番号を入れます。

変更した行に色を付ける場合も、色だけに頼らず「B出演開始を18:20へ変更」のように文字で残します。画像版を使う場合は、スマートフォンでも読める文字の大きさにし、主要時刻は本文でも案内します。

公開された公演情報の確認には、記事下のViVaLiVe「ライブイベントを探す」から進めます。内部進行表の未確定時刻を、そのまま観客向けの確定情報として案内しないようにしましょう。

8. 当日は予定と実績を分けて記録する

進行担当は予定の列を消さず、実際の開始・終了と差分を別の列へ記入します。遅れが出たら、まず次のどの地点へ影響するかを確認します。

  • 次の出演開始
  • 音止め
  • 物販・精算の終了
  • 楽屋撤収・完全撤収

たとえばCの開始前に7分遅れているなら、本番予備10分で吸収できる可能性があります。ただし、機材トラブルが解決していない場合や、撤収側にも遅れがある場合は、数字だけで判断できません。残りの作業と会場条件を確認してから、責任者が対応を決めます。

予備を超える見込みなら、会場と出演者へ相談し、事前に合意した範囲でMCや演奏内容などを調整します。安全確認や必要な転換を急いで省略したり、主催者だけで音止めを後ろへ動かしたりしないでください。

観客へ伝えた出演時刻や終演見込みが変わる場合は、会場アナウンスと公演情報の更新先を合わせます。開催後は「転換が予定より何分長かったか」「精算と搬出を並行できたか」を記録し、次回はその実績を基に配分を作ります。

よくある質問

転換は何分あれば足りますか?

全公演に使える一定の分数はありません。前後の編成、交換機材、接続、音確認、担当人数、会場条件から見積もります。本文の15分は架空例であり、推奨標準ではありません。

リハなしなら出演組数を増やせますか?

リハをなくしても、接続や音確認そのものが不要になるわけではありません。本番前の転換へ確認作業が移る可能性があるため、会場に可否と必要時間を相談します。演奏時間だけを増やす計算にはしないでください。

タイムテーブルとセットリストは何が違いますか?

タイムテーブルは公演全体の時刻と作業、セットリストは各出演者の曲順や演出などを扱います。持ち時間と曲・MCの合計が合っているか、両方を照合します。

スプレッドシートで作ってもよいですか?

会場の指定形式に合うなら使えます。開始、終了、所要分、内容、担当、備考の列を作り、終了時刻から次の開始時刻へつなげると確認しやすくなります。共有範囲を設定し、公開用には必要な情報だけを取り出してください。

参考にした公式情報

以下は2026年10月12日に確認しました。会場固有の利用条件を確認するための資料です。記事中の進行表、計算例、資料の作り分けと共有手順は編集部の提案であり、各会場がその配分を承認しているという意味ではありません。